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祈願市街 [旅]

祈願市街「被爆70周年の長崎市街地を巡る」




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爆心地付近にあった教会。被爆したマリア像が痛々しい/長崎県 長崎市・浦上天主堂




 今年、2015年は終戦70周年。それと同時に広島・長崎も、原爆が投下されて70年を迎える。しかし今では、8月6日に広島、8月9日に長崎に原爆が投下されたことを知らない若者が多いらしく、若い芸能人が、ネットで炎上したという話も聞いて、残念な気持ちになった。
 だから、今回は被爆70周年を迎えた私の地元、長崎を取材して、もう一度平和について考えたい、考えてほしいと思った。

 被爆して70年もたてば、当時の様子を語れる方が減ってきているという事実が垣間見える。原爆被害の写真等も、以前は至る所にあったが、今ではほとんど見かけることもなくなった。過激な画像ではあるけれど、きちんとメッセージとして伝えるべきだと思う。

 長崎の爆心地は、長崎駅からわずか数百メートルの浦上という町。今では、平和記念公園があり、原爆資料館などの施設もがある。そして、その他にも、至る所に原爆の傷跡が残っている。

 爆心地のすぐ近くに、浦上天主堂があり、教会自体は現在新しくなっているが、当時の被爆した建物の一部が保存されている。その中でも特に目を引くのは、教会の入り口にある、被爆したマリア像。頭部が吹き飛ばされた姿は、爆風のすさまじさを物語っている。なお、破損した頭部も、協会内で保存されているとのこと(おそらく非公開)。

 浦上天主堂から、約1キロほど西に行くと、被爆した神社の鳥居(通称、一本柱鳥居)がある山王神社に着く。ここは、長崎出身のアーティスト、福山雅治さんの歌、「クスノキ」の題材となった、被爆した大クスノキがある。この木は、被爆当初、木の幹が破損し、おそらく枯れてしまうだろうと思われていたが、2ヶ月後に芽吹き、必死に生きようとする姿に、打ちひしがれていた住民も勇気付けられたとのこと。長い年月の果てに、存続の危機に直面していたそうだが、福山さんをはじめとする様々なアーティストさんの寄付の呼びかけにより、危機を脱し、今も元気な姿を見せてくれている。




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被爆した大クスノキ。痛ましいが、その分葉が生い茂る姿に
生命力を感じる/長崎県 長崎市




 長崎には、嬉しい話題もある。「明治日本の産業革命遺産」で、長崎の造船所、炭鉱場、旧グラバー邸などが世界異文化遺産に登録されたこと。特に、長崎半島沖合に浮かぶ、軍艦島(端島)はその人気も高い。当然取材に望んだが、台風が接近していたため、船で近くに行くことができず、残念な結果となった。

 また、長崎の教会群とキリスト教関連遺産がユネスコ世界遺産の暫定リスト入りを果たした。隠れキリシタンの街として根付いた文化が、現在に残っているのがすごいことだと思う。このような現状から、今後の長崎の行方に目が離せないと思う。

 今回地元での撮影と言うこともあり、少し違った感性で撮影することができた。被爆70周年という節目の年、もう一度長崎という街を見つめ直した末、違った魅力が発見できたと思う。

 政治の世界でも、日米安保の話題が出てきている。今だからこそ、もっと平和について若い世代の人たちに考えてもらいたいと思う。

 また、原発再稼働の話も上がり、世界委唯一の被爆国として考えるべきことがまだまだあると思う。

 我々写真家の勤めは、写真を通して様々な今を伝えること。そのために今以上にがんばろうと思ったし、今後、被爆の街長崎として、日本だけでなく世界中に、色々と平和について発信してほしいと願っている。




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世界遺産に登録された軍艦島。近くに行けなかったので超望遠で切り取った/長崎県 長崎市






聖島巡礼 [旅]

聖島巡礼「隠れキリシタンの島、上五島を巡る旅」




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上五島での世界遺産候補、頭ヶ島教会。全国的にも
珍しい石造りの教会/長崎県 上五島町




 7月末、台風12号の接近と重なってしまった今回の上五島の取材。上五島行きの船が出るか出ないかの瀬戸際状態だったが、出発の前夜に台風が通り過ぎ、何とか上五島行きを実行することができた。

 上五島は、長崎県の五島列島の北側に位置する島。中通島、若松島、頭ヶ島は、すべて橋でつながっているのでアクセスは比較適に楽な地域で、観光名所も随所に見られる。

 長崎では、明治6年のキリシタン禁教令が解かれたことにより、自らの信仰の拠り所とするため、次々と教会が建てられた。上五島にも、計29のカトリック教会が建設された。平成19年1月に、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」がユネスコの世界遺産暫定リスト入りし、上五島では頭ヶ島天主堂が候補として上がっている。歴史や文化に触れる旅も楽しい

 上五島の特筆すべき点をもう一つ。それは、海がとても綺麗なこと。そして、小さな島が密集していて、松島や九十九島、瀬戸内に匹敵するほどの、海と島の絶景が楽しめるということ。海を俯瞰できる展望所も至る所にあり、逆光で海に輝いているときなどは最高のロケーションである。




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雲の隙間から光が射し海を照らし出した。聖なる島にふさわしい風景だ/長崎県 上五島町




 上五島は、現在、空港が閉鎖されているため、現行船での旅となるが、海が荒れやすく、結構頻繁に欠航するので注意が必要。長崎市内から高速船で1時間40分程度で行ける。島を回るバスはあるが、満足のいく旅を望むならやはりレンタカーで回ったほうが無難。上五島自体はあまり大きな島ではないので、2~3日で十分回れる。

 上五島は世界遺産候補に文化的景観の街並みや美しい風景など、文化と自然が調和した島。しかも、それらが比較的コンパクトに収まっていて、観光にも適した地。非常に満足のいく旅だった。

 あと、五島の特産品の「五島うどん」は、通常のうどんよりも麺が細めなのが特徴。こしがあり、非常に美味。帰り間際だったけど忘れずにいただきました。




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上五島は海が澄んでいて美しい。特に島間の橋の上は絶好のロケーション/長崎県 上五島町






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